スポンサーサイト

0
    この広告は45日以上更新がないブログに表示されております。
    新しい記事を書くことで広告を消すことができます。
    • | - |
    • |
    • - |
    • - |
    • - |

    源氏物語-若紫との出会い-

    0
      (春は)日が大変長くて、(夜までの時間が)退屈なので、夕暮れで(あたりが)たいそう霞んでいるのに紛れて、あの小柴垣のあたりに源氏はお出かけになる。(お付きの)人々は帰しなさって、惟光の朝臣と二人で覗きなさると、ちょうどこの西向きの部屋で、持仏をお据え申しあげて勤行をする尼であった。簾を少し巻き上げて、花をお供えしているようだ。中央の柱に寄りかかって座って、脇息の上に経をおいて、大変苦しそうに経を読んでいる尼君は、並みの人物とも見えない。四十過ぎくらいで、とても色が白く上品で痩せてはいるけれども、顔つきはふっくらとして、目元のあたりや、髪がきれいに切りそろえられたその先も、かえって格別に今風でしゃれているものだなあ、としみじみとご覧になる。

      こぎれいな女房が二人ほど、そのほかに子供たちが出たり入ったりして遊んでいる。その中に十歳くらいであろうかと見えて、白い下着に、山吹がさねの上着などで着なれたのを着て走ってきた女の子は、たくさん見えていた子供たちに似るはずもなく、たいそう成人後の(将来の)美しさがうかがわれて、かわいらしい顔立ちである。髪は扇を広げたようにゆらゆらとして、顔は(泣いて)こすって赤くして立っている。

      「どうしたの。子供たちとけんかをしなさったのですか。」といって尼君が見上げた顔に(この子と)少し似ているところがあるので、(この子は尼君の)子なのであろう、と源氏はごらんになる。「雀の子を犬君が逃がしてしまったの。ちゃんと伏籠の中に入れておいたのに。」と言ってとても残念だと思っている。ここに座っていた女房が「いつもの、あのうっかり者が、こんなことをして叱られるのは本当に困ったことですこと。雀はどっちの方にいったのかしら。とてもかわいくだんだんなってきたのに。烏なんかが見つけたりしたら大変だわ。」といって立って行く。髪がゆったりと大変長く、なかなか美しい人である。少納言の乳母と人々が言っているのはこの人のことであろう。

      尼君は「いやもう、本当に子供っぽいこと。言うかいのない(話にならない)子供っぽさでいらっしゃいますね。私のこのように今日か明日かと思われる命のことを(あなたは)何ともお思いにならないで、雀を追いかけていらっしゃるくらいのことなのですね。『(生き物をとらえるのは)仏罰を受けることだ』といつも申しあげておりますのに、困ったことです。」と言って、「こっちへいらっしゃい。」というと少女はひざまづいた。

      顔つきは大変かわいらしくて、眉のあたりはほんのりとしており、あどけなくかき払った額の様子や髪の様子は、大変かわいらしい。成長していく様子が見たい人だなぁと源氏の目がおとまりになる。それというのも『限りなく心を尽くしてお慕い申しあげている方(藤壺の女御、亡き母)にこの子(若紫)がよく似申しあげているので、それで(こんなにも)目が引き付けられるのであったのだなぁ。』と思うにつけても涙が落ちる。

      尼君は(若紫の)髪をなでながら「とかすことを嫌がりなさるけれどもきれいな髪ですこと。(あなたが)こんなに他愛もなくていらっしゃるのが本当に心配なのですよ。このぐらいの年になれば本当にこんな風でない人(こんなに幼稚でなくしっかりした人)もありますのに。(あなたの母親である)亡くなった姫君は十二歳で(そのお父上の)殿に先立たれなさった頃、たいそう物事の道理をよくわきまえていらっしゃいましたよ。たった今私があなたをお見捨て申し(死んでしまっ)たならば、どうやって世の中を生きてゆこうとなさるのでしょうか。」と言ってひどく泣くのをご覧になるのにつけても、(源氏は)なんとなく悲しい。(若紫は)子供心にも、そうはいってもやはり(心を動かされて)尼君をじっとみつめて、(それから)伏し目になって(とうとう)尼君の膝に突っ伏してしまったので、こぼれかかった髪が、つやつやと見事に(すばらしく)美しく見える。

      これから生い立ってゆく場所もどこか分からない若草(将来[を託す結婚相手]もまだ決まらない姫君)を後に残しては、気がかりで露も消えて行く先がありません。(私も死んでゆくところがありません=死ぬに死ねません。)

      またそこにいた女房が「ほんとうに(ごもっとも)」と泣いて

      初草のような(初めて萌えだした若草のような)姫君の成長して行く先もわからないのにどうして露(=尼君)は消えようとするのでしょうか。(長生きしてくださいませ。)

      と申しあげているところへ、僧都が向こうからやって来て、「こちらは、外から丸見えではございませんか。今日に限って、端にいらっしゃったことですねぇ。この山の上の聖の方に源氏の中将が、おこりの祈祷においでになったということを、たった今聞きつけました。たいそうお忍びでいらっしゃったので存じませんで、ここに住んでおりますのにお見舞いにも参上いたしませんでしたよ。」と言うので「まあ、大変です。大変見苦しい様子を人が見たでしょうか。」といって簾を下ろしてしまった。「世間で評判が高くていらっしゃる光源氏の君を、こんな機会に見申し上げなさってはいかがですか。世を捨てた法師の心にも、たいそう世の中の辛いことも忘れ、寿命ものびる(ような)源氏の君のご様子なのです。さあ、ご挨拶申し上げましょう。」といって立ち上がる音がするので源氏もお帰りになった。

      この記事を読んだ人にオススメ

      スポンサーサイト

      0
        • | - |
        • 13:16 |
        • - |
        • - |
        • - |

        Comment

        口語訳見させてもらいました(>_<)!
        とても助かりました!!ありがとうございます(((o(*゚▽゚*)o)))
        • | cocoa |
        • 2013/02/24 1:28 PM |
        お役にたてて
        うれしいです♪
        コメントわざわざありがとうございます!
        • | 管理人 |
        • 2013/03/05 5:46 PM |
        助かりました!
        • | 高校生 |
        • 2014/04/17 7:59 PM |
        << ELEMENT供8-2 | TOP | 文章軌範-雑説- >>
        SunMonTueWedThuFriSat
          12345
        6789101112
        13141516171819
        20212223242526
        27282930   
        << April 2014 >>
        PR
        Recent Entries
        Categories
        Archives
        Recent Comments
        Recommend
        Profile
        Links
        Other